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どこが一番好きか? と聞かれたら…。

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   今 2人で居る幸せ
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ふと気付いたら、温かい腕に包まれていた。
辺りは闇に包まれていて、頼りになるのはこの腕だけ。
微かな月の光に照らされて、綺麗な蒼い髪が水に濡れたように光っている。

白いシーツに覆われた寝台もよく映えて、とても神聖に。



「師叔…」


月の夜の静寂によく通る低めの声が響く。
呼ばれ顔を上げると、そこには先程の蒼い髪の持ち主がこちらを向いて微笑んでいた。


男の大きな手がゆっくりとわしの朱い髪を梳き、顔と顔が近づく…。
唇に柔らかな感触。
息と息を共有できる、この行為。


とても、好き。




   ***



「……ん」


僅かに身じろぐと、男はすぐに唇を解放した。
そして、口付けによって乱れたわしの息を整えるために背中をゆっくりと優しく撫でてくれる。


ゆっくりと何度か撫でられ、だいぶ息が落ち着いた頃この大きな手はいつも作意を持って悪戯を始める。
時にはわしの弱いわき腹を撫でたり、時には唇に触れてきたり。
しかし、今夜は肌に触れることにしたようだ。



自分はすでに寝着なのに対して、男は仕事から終えたばかりで未だ常の青い道衣を身に付けていた。
合わせ目から覗く肌に気がいったのだろうか。


背を辿っていた手が肩を滑り、ゆっくりと寝着の合わせ目に掛かる。



「…性急め」

「久しぶりですから…」


クスクスと笑いながら言うと、男もクスクスと少し苦みがかった声で答えた。
余裕が無いらしい…。




話は自然と途切れそのまま寝着が肩から落ちる。
僅かに寒さを感じたが、すぐに温かい腕に包まれた。
片方の手はしっかと躰を包み、もう片方の手は嬉々として胸を弄っている。


男の胸なんぞ触って楽しいか、と前に尋ねたことがあったが、その時はにっこり微笑み付きで、楽しいですよ、と言われた。
そしてついでとばかりに、触りごこちも良いですし、とも言われた。
今も常と変わらず微笑みながら手を動かしている。



気持ち良くてそのまますべてを委ねようと思ったが、直接男の手が肌に触れた時ふと気付いた事がある。
常日頃の道衣の為に、男はまだ手袋をしていたのだ。
少し、我がままを聞いてもらおうか…。



そぅ、っと手を動かし、男のそれに重ねる。
そして、少し力をいれて胸を弄る行動を阻止してやると、男はきょとんとした顔でこちらを見た。



「…この手の真意は?」


この行為自体が嫌なのか、と聞かれているようで少し心が痛むが、ちょっとした我がままぐらいは聞いてもらわねば。
小さく笑い、男の唇に口付ける。



「自分で考えてみよ」


短く言うと、男は一瞬驚いた顔をして見せたが、すぐに理由(わけ)を察したのか躰を離し、手袋を取り始めた。
両手の手袋を取り、男はこちらを見て微笑う。



「これで、良いですか?」


顔の前に手をかざし、ひらひらとして見せる。
その行動が可笑しくて、わしは男の手を取った。



「良いよ…」


ちゅ、と小さな音を立てて、男の手のひらに口付ける。
そのまま手が頬を伝い、躰を包み込んだ。
離れていた熱が戻って来たことに、涙を流しそうなほどの幸せを感じる。


背に回った男の手からは手袋を取り去った為か直接熱が伝わってきた。
そして、ゆるりゆるりと優しく背を撫でられる。

その暖かな感触に安心して、わしは身を委ねた。




   ***



男のすべてが好きだと思う。


その風にそよぐ蒼い髪も、
透き通った紫の瞳も、
よく通る低い声も、

自分を想ってくれる、その心も…、


全部、全部。



ただ、

どこが一番好きか? と聞かれたら…。


すべてを受け止め、包み込んでくれる、
大きくて、優しい、あの手が…、


好き…。







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これは他でもない、愛する相方さんの為に1時間ほどで書いたものです。
イベント参加のためのサークルカットを描いてもらったら、素敵な楊ゼンさんを描いてくれましてv
その楊ぜんさんが未だに手袋をしていたので突発で思い付いて書きました。(相方さんは手袋がお好きなご様子…)
証拠(?)画像はこちら

凜のダメダメなトコは大事な濡れ場をすっ飛ばした事と、望ちゃんが血を吐くほど乙女なコト。
あとは、楊ゼンの名前が出てきていないことですかねぇ…。<重要

ある意味駄作ですが、気に入ったのでアップしてみたり。(笑)



2001.7.30.